先日発表された出願者数が文1と文2で倍率3倍を割った、ということが分かりました。
文系の足切りは3倍ということになっていますので、今年は足切りが行われないということですね。
時々起きるようになったことだそうで、これこそ少子化の足音という気がします。
東大受験率が下がらずとも世代人口が減ってくれば頻度が上がっていくというわけです。
どこかの官庁から拝借してきたよく見る(?)グラフですが、右のカラフルじゃない方だけ見れば良いですね。これに東大出願者数を重ねて比較したら面白そうです。
さて、中学受験を題材にしたコンテンツとして名高い「2月の勝者」ですが、166話までは2月7日まで無料公開されているようですね。
二月の勝者 ー絶対合格の教室ー - 高瀬志帆 | ビッコミ(ビッグコミックス)
いくつかの漫画サイトで同時に公開されているそうで、折角なので読み通してみました。
通して読んだことは今までなかったんですが、もう感想が「よく書けてるな……本当によく描けている」としか出てきません。
"あるある"でありながらふわっと捉えていた現象や構図が明瞭にイメージ化されていたり言語化されていたりするので、本作から流用しておこうと思った表現も数多く存在しました。
と同時に、これら作中でも描かれた問題を根本的に解決しようと思ったら個人ないしは一人の力では絶対に無理だなと思っています。改めてそう思わされます。
結局自分でも、今までで(こうした問題を乗り越える形で)成功した事例は条件が限定的になります。
婉曲な表現をするとその条件が「生徒個人から見た対人接触時間の最も長い人物が一年以上に渡り私であった」場合です。家族全員の"合計"よりも長かっただろうと思います。
そこまでしながら、それでも根本的解決はしたわけではありませんでした。"成功"の下に覆い隠して終わりです。「二月の勝者」作中の"家庭に関与"というテーマで長く根深く掘り下げられていた内容にあたるかと思います。
私自身はもとから一般的なそれと異なり受験後、進学後の子に対し無制限の期間で責任を持ってアフターフォローするスタンスだったので作中のテーマとは微妙に異なるところではありますが、問題の根本自体は結局同じです。
そういえば、作中では明らかに問題のある親として描写されていたキャラクターは数人います。ドラマ版は見ていたのでその当時の話ですが、そうした親について
私「確かにやってはいけない行動なのは分かるけど、気持ちは分かるんだよな……思わずそうしちゃうよな」
生徒「ありえねー(気持ちも分からん)」
といったやり取りがあったのを思い出しました。
結局生徒だけでなく彼女もそういう反応だったので、立場というもので感じ方は変わるという好例だといえそうです。
まあ、もちろん塾側としての立場であればああいう問題行動はやって欲しくないですが。許せるかと気持ちが分かるかは別です。
ともあれ、本作は子育てのバイブルとして参照して良いくらい、中学受験に限らない典型的な家庭の事情と問題点を描いているように思えます。これが全てではないですが、典型的なところは数多く描いている。
「受験が家庭に問題を生むのではなく、元々問題のあった家庭を浮き彫りにする」という説明のやつですね。
本作に加えて、当然ながら私自身の見聞として具体例はさらに追加できます。いつかはそれらも個人情報を特定できる要素を除去する処理を施した上でエピソード化してみたいと思いましたが、いつになるか……困ったことにあまり期待できませんね。